ぐり日記
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写真家:斎城卓氏と私の亀
自分の中のスーパーヒーローっているでしょ。
私の中のガラス界のスーパーヒーローは、高橋禎彦さんと高見澤英子さん。
そして、そのお二方及び多くの素敵な工芸作家が、自分の作品を写真に残す時に、絶大な信頼を寄せているカメラマンがいる。
斎城 卓(さいき たく)。
1997年、私が大学3年の夏にキッチンスタッフとして参加させてもらった大村ガラススタジオ・サマーセッションのゲスト講師として招かれ、私は彼を遠くから眺めた。
そして、1999年、多摩美の卒業制作図録の撮影は、彼だった。
瞬時に作品を感じ、その物の良さを引き立たせるシュチュエーション・構図をイメージして、試し、決断していく瞬発力は、圧倒的だった。
その反面、作品の弱点・自分の人間としての弱点は、すぐに見抜かれてしまうので、恐ろしい。
撮りたくない作品に対しては、当然厳しく対応する。
幸い、大学4年の1年間を費やした私の卒業制作は、たぶん、その向う見ずなパワーが表れていて、斎城さんの感覚に、同調してもらえた。
その年の「日本のガラス展」に卒業制作作品が入選して、その展覧会図録の撮影も、彼だったのだが、彼は私の作品を見るなり、その入選を当然だと言って下さり、とても褒めてくれた。
この経験が、私がこれまでガラスを続けて来れた、大きな心の支えになっていた。
いつかまた、斎城卓に撮ってもらえる作品を作る事が、私のひとつの目標であり夢だった。
6月に初めての個展をして、東京でもやりたいと考え、10月のプリズムプラスが決まってから、間の4ヶ月で、何ができるか考えた。
夏には出展もいろいろあり、子供たちの夏休みがあり、委託店舗の補充制作もあり、新しいことはあまり出来ないことは分かっていた。
お誘いハガキをどうしようか考えた。
1つは、新作を作って、新作の写真を使うこと、
もうひとつは、同じ亀の作品を、プロのカメラマンに撮ってもらうこと。
どちらも「+」のコンセプト。
新作を考えたけど、あの亀より成長したところを見せられるような作品を作るには、時間が足りない。
あの亀を、まだ見てない人、また見たいと思ってくれた人に、見てもらうのが、この巡回展。
なので、もう一度、同じ亀でいくことにした。
さぁ、プロのカメラマン。
もちろん、頭にすぐに浮かぶのは、斎城卓氏。
しかし、恐れ多い。
国立近代美術館の展覧会の図録を任される人物。
私にはまだまだ早いのではないか。
もちろんそう思った。
しかし、うだうだと尻込みしながらも、他のアイディアなんて浮かばない。
ここは、勇気を奮い出すしかない。
知り合いのガラス作家の方にお願いして、話をしてもらい、連絡先をおしえていただいた。
そして、電話した。
ご挨拶もそこそこに、まずは、「なんでオレがいいの?」という質問。
私の想いを、かいつまんで話した。
彼が撮った高見澤さんの作品の写真は、涙が出るほど美しく、凛としていて、その図録は、私の宝物である。なんて、暑苦しいことは言ってないよ。
でも、作品を撮ってもらうだけではなく、斎城さんの嘘のない目を通して、斎城さんが感じたことと対峙して、ぶちのめされたいのだ、という想いを伝えた。
斎城さんは、この話に乗ってくれた。
しかも、ちょっとワクワクしてくれた。
個展まで1ヶ月を切っている、という非常識なタイミングなのに、撮影から印刷・発送までのスケジュールを逆算し、電話から3日後の1日を私に空けてくれた。
そして、自分のスタジオで撮るのは簡単だけど、それじゃ自分が全然楽しくないから、そっちの家に行ってもいいかい?と言われた。
私の工房はめちゃくちゃ狭くてごちゃごちゃだし、家は、趣のある家具とか全然ない、子供がいる普通の現代住宅だけど、まぁ、斎城さんの手に掛かると、どうにかなるのだろうと、家に来ていただくことにした。
勇気を出してみるもんだ。
斎城卓が、うちに来るなんて、夢にも思ってなかった。
過度のドキドキは、電話を切ってから、数倍のワクワクになった。
しかしもちろん、恐ろしさは、変わらない。
斎城さんが有名な人だから怖いのではない。
自分を丸裸にされて、自分では気付いていない弱点をさらけ出されるのが怖いのだ。
そしてわざわざご足労願ったのに、彼をがっかりさせる可能性も充分にある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やはり、彼の目と心は、13年振りに小娘からお母さんになっていた私の本質を突いてきた。
世界中の、突き抜けたかっこいいモノを山ほど見て、ファインダーを通して分解を繰り返してきた彼の目には、
私の亀の第一印象は、どんよりしたものだった。
そのどんよりを、会話をしながら紐解いていった。
何が人を興奮させるか、ということについて、
人間と他の動物の違いについて、
停滞とリニューアルについて、
真実とは必ず2つ以上が存在し、それを多く持つ事について、
振り幅の広さと中間のかっこよさについて、
音楽と歌詞について、
男と女のBrainとBodyの関係性について、
・・・
めちゃくちゃ消耗しました。
36の小娘が、たぶん20歳以上は離れた百戦錬磨の写真家の話に付いていこうとするのは。
それでも、話をして、撮影を進めていくうちに、最初に作品を見た時の斎城さんのスッキリしない顔から、この亀をどう料理するかということが、だんだん楽しくなっていく表情に変わっていって、私もホッとしました。
撮影は、玄関のスペースで、うちのリビングの、子供たちが汚した椅子を使って。
私が撮った前回のDMの亀とは、ずいぶんイメージが違っていると思います。
[Happy Glass Life]なんていうタイトルが、間抜けに思えるような、ダークな演出です。
いつも笑顔でポジティブを心がけているつもりの私が、表に出していないと思い込んでいる、ダークサイドを引き出すことが、彼には面白かったのかなぁ、と思えるような写真なんだけど。
今回は、敢えて私の意図は通さずに、斎城卓の色で、DMを作っていただくことにしたのです。
そこから生まれる新たな発見と、新たな楽しさを求めて。
デザインも印刷もお任せ。
ちなみに、印刷会社も当然指定です。
「どんな写真を撮ったって、印刷がダメじゃどうしようもないもんな。」
そりゃそうだ。
「まぁ、作品の写真を撮ってもらいたいと思うなら、オレが一番いいよ。」
当然日本一を自負している、斎城卓というエネルギーの塊、最高にファンキーです。
私の中のガラス界のスーパーヒーローは、高橋禎彦さんと高見澤英子さん。
そして、そのお二方及び多くの素敵な工芸作家が、自分の作品を写真に残す時に、絶大な信頼を寄せているカメラマンがいる。
斎城 卓(さいき たく)。
1997年、私が大学3年の夏にキッチンスタッフとして参加させてもらった大村ガラススタジオ・サマーセッションのゲスト講師として招かれ、私は彼を遠くから眺めた。
そして、1999年、多摩美の卒業制作図録の撮影は、彼だった。
瞬時に作品を感じ、その物の良さを引き立たせるシュチュエーション・構図をイメージして、試し、決断していく瞬発力は、圧倒的だった。
その反面、作品の弱点・自分の人間としての弱点は、すぐに見抜かれてしまうので、恐ろしい。
撮りたくない作品に対しては、当然厳しく対応する。
幸い、大学4年の1年間を費やした私の卒業制作は、たぶん、その向う見ずなパワーが表れていて、斎城さんの感覚に、同調してもらえた。
その年の「日本のガラス展」に卒業制作作品が入選して、その展覧会図録の撮影も、彼だったのだが、彼は私の作品を見るなり、その入選を当然だと言って下さり、とても褒めてくれた。
この経験が、私がこれまでガラスを続けて来れた、大きな心の支えになっていた。
いつかまた、斎城卓に撮ってもらえる作品を作る事が、私のひとつの目標であり夢だった。
6月に初めての個展をして、東京でもやりたいと考え、10月のプリズムプラスが決まってから、間の4ヶ月で、何ができるか考えた。
夏には出展もいろいろあり、子供たちの夏休みがあり、委託店舗の補充制作もあり、新しいことはあまり出来ないことは分かっていた。
お誘いハガキをどうしようか考えた。
1つは、新作を作って、新作の写真を使うこと、
もうひとつは、同じ亀の作品を、プロのカメラマンに撮ってもらうこと。
どちらも「+」のコンセプト。
新作を考えたけど、あの亀より成長したところを見せられるような作品を作るには、時間が足りない。
あの亀を、まだ見てない人、また見たいと思ってくれた人に、見てもらうのが、この巡回展。
なので、もう一度、同じ亀でいくことにした。
さぁ、プロのカメラマン。
もちろん、頭にすぐに浮かぶのは、斎城卓氏。
しかし、恐れ多い。
国立近代美術館の展覧会の図録を任される人物。
私にはまだまだ早いのではないか。
もちろんそう思った。
しかし、うだうだと尻込みしながらも、他のアイディアなんて浮かばない。
ここは、勇気を奮い出すしかない。
知り合いのガラス作家の方にお願いして、話をしてもらい、連絡先をおしえていただいた。
そして、電話した。
ご挨拶もそこそこに、まずは、「なんでオレがいいの?」という質問。
私の想いを、かいつまんで話した。
彼が撮った高見澤さんの作品の写真は、涙が出るほど美しく、凛としていて、その図録は、私の宝物である。なんて、暑苦しいことは言ってないよ。
でも、作品を撮ってもらうだけではなく、斎城さんの嘘のない目を通して、斎城さんが感じたことと対峙して、ぶちのめされたいのだ、という想いを伝えた。
斎城さんは、この話に乗ってくれた。
しかも、ちょっとワクワクしてくれた。
個展まで1ヶ月を切っている、という非常識なタイミングなのに、撮影から印刷・発送までのスケジュールを逆算し、電話から3日後の1日を私に空けてくれた。
そして、自分のスタジオで撮るのは簡単だけど、それじゃ自分が全然楽しくないから、そっちの家に行ってもいいかい?と言われた。
私の工房はめちゃくちゃ狭くてごちゃごちゃだし、家は、趣のある家具とか全然ない、子供がいる普通の現代住宅だけど、まぁ、斎城さんの手に掛かると、どうにかなるのだろうと、家に来ていただくことにした。
勇気を出してみるもんだ。
斎城卓が、うちに来るなんて、夢にも思ってなかった。
過度のドキドキは、電話を切ってから、数倍のワクワクになった。
しかしもちろん、恐ろしさは、変わらない。
斎城さんが有名な人だから怖いのではない。
自分を丸裸にされて、自分では気付いていない弱点をさらけ出されるのが怖いのだ。
そしてわざわざご足労願ったのに、彼をがっかりさせる可能性も充分にある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やはり、彼の目と心は、13年振りに小娘からお母さんになっていた私の本質を突いてきた。
世界中の、突き抜けたかっこいいモノを山ほど見て、ファインダーを通して分解を繰り返してきた彼の目には、
私の亀の第一印象は、どんよりしたものだった。
そのどんよりを、会話をしながら紐解いていった。
何が人を興奮させるか、ということについて、
人間と他の動物の違いについて、
停滞とリニューアルについて、
真実とは必ず2つ以上が存在し、それを多く持つ事について、
振り幅の広さと中間のかっこよさについて、
音楽と歌詞について、
男と女のBrainとBodyの関係性について、
・・・
めちゃくちゃ消耗しました。
36の小娘が、たぶん20歳以上は離れた百戦錬磨の写真家の話に付いていこうとするのは。
それでも、話をして、撮影を進めていくうちに、最初に作品を見た時の斎城さんのスッキリしない顔から、この亀をどう料理するかということが、だんだん楽しくなっていく表情に変わっていって、私もホッとしました。
撮影は、玄関のスペースで、うちのリビングの、子供たちが汚した椅子を使って。
私が撮った前回のDMの亀とは、ずいぶんイメージが違っていると思います。
[Happy Glass Life]なんていうタイトルが、間抜けに思えるような、ダークな演出です。
いつも笑顔でポジティブを心がけているつもりの私が、表に出していないと思い込んでいる、ダークサイドを引き出すことが、彼には面白かったのかなぁ、と思えるような写真なんだけど。
今回は、敢えて私の意図は通さずに、斎城卓の色で、DMを作っていただくことにしたのです。
そこから生まれる新たな発見と、新たな楽しさを求めて。
デザインも印刷もお任せ。
ちなみに、印刷会社も当然指定です。
「どんな写真を撮ったって、印刷がダメじゃどうしようもないもんな。」
そりゃそうだ。
「まぁ、作品の写真を撮ってもらいたいと思うなら、オレが一番いいよ。」
当然日本一を自負している、斎城卓というエネルギーの塊、最高にファンキーです。
by guridrops
| 2012-09-25 14:30
| 展示会のお知らせ
作品はこちら
Guri's Glass Works
http://www.guridrops.net/
ガラスアクセサリー*guridrops*
http://guridrops.ocnk.net/
メール
guridrops@jcom.home.ne.jp
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